2007-01-01から1年間の記事一覧

孫子の平熱 shigE

平日の朝 路上に奇声が 上がるようになって もう何年経っただろうか 養護学校のバスが 毎朝迎えに来る 母とそれを待つ 男の子の身長も ずいぶん延びた! 週末の午後 路上に美声が 響くようになって ずいぶん時が経つ 塵芥収集車を 週一回誘導する 躊躇ない声…

まどろむ      by fou

屋根の上 のどかにまどろむ 目を閉じて、しっぽ微かに揺れる 野性のまなざしは隠されて 陽をあびている 陽炎がほのかにゆれる 夢を見ているのか ニャと短く鳴く 唇がチロと動く 微かな息をくりかえす 猫はななたび生れ変るという だが、猫は目覚めるたびに生…

孫子の平穏    shigE

とうちゃんに聞いたんだ なにを? 得意そうに語る 男の子 20インチに満たない 自転車を必死に 漕ぎながら息を弾ませて あにきに聞いたんだ どうして? 無念そうに語る 彼 20センチほどの 包丁を研ぎながら 息を詰めるように じいちゃんに聞いたんだ いつ? …

Moff Moff by kuji

fou

ニャンと鳴き ニャンと笑う 前脚をグーンと伸ばし 弓のようにカラダを反らし 大きく欠伸をして クシュンとくしゃみをする 何事もないように とぼけた瞳で、じっと見つめる 前脚を揃えて 小首をかしげる ニャンと鳴き ニャンと笑う 猫の記憶は5分間 猫の想い…

fou

もういいかいまぁだだよ もういいかい まぁだだよ 可愛い子猫を探して母親猫は、ミャーとなく もういいかい子猫は小さくこたえる、まぁだだよ 子を喪った母親猫は、聞こえるまぁだだよ子猫は自動車にひかれて死んだまだ小さかった子猫は声もなく死んだ 喪わ…

fou

しばらくモフモフが来ていない チビ君がミャーとも返事をしない チビ君が寂しそう と、ふと、モフモフがいる ふとんの中でモフモフしてるよかったね チビ君が一所懸命遊んでる モフモフは気まぐれネコ いつの間にかいて いつの間にか消えているだけどチビ君…

fou

僕の家には2匹のネコがいる 1匹はキジトラのチビ君 そしてもう1匹の猫がいる 名前はモフモフ 想像のネコだ いや、想像ではない、見えないネコだ チビ君の友達だ チビ君はもうすぐ2歳になる男の子 外に出たことがない とても気が小さい だから、友達がいない …

孫子の平坦

ものすごく暑くなる日 朝からめげずに 朝だからまだなんとか 蟻さんたちの列 コンクリートを渡って 蝉の這い出た穴 地蜘蛛の嚢状巣を睨み 里芋の茎を伝い 一日の糧を収獲すべく 六本の手と足を 駆使し縄張りを廻った 微風が台風に変わる日 一族すべて挙げ 終…

Nickel Odeon #2 by kuji

孫子の平易

身をもって うけとり つつしみ いそしみ こなし きざんだ 心棒こそ 意の如く 操って 技共々 伝えよ 心にみちる よろこび いきどおり かなしみ たのしみ まざる 涙壺こそ 情の如く 風を 雨を 抱けよ

女の敵       by fou

愛する資格なんかない 愛される資格なんかない 女の敵 恋なのか、愛なのか つぎつぎと女を替える あっちに子供をつくり こっちに子供をつくり みさかいなく種を撒く 生まれてしまえば 養うことなく、面倒を見ることもなく 後は知らん振り 子供は子供で 同じ…

孫子の平常

月は? あそこに 皆既月食の翌日 母に聞いている 昨日は東京は曇り 北海道と鹿児島と 赤い月が放映され 桜島のシルエット 湾口と天空の上で 殊更に美しかった なぜ? その理由 情報知識があり 父に聞かない 日本は晴れても 世界は違うという 東西南北の一線 …

しっぽ         by fou

ピョロロ ピョロピョロ シッポをピョロロ フニャニャ クルクルピタピタ ピョーンクルル オーイ、ねこ いやさ、恋泥棒 お前のしっぽピョロピョロに オイラは胸キュンだぜ お前に捧げるために オイラは花泥棒 チンケな村のチンケな花泥棒 お前のために今日も花…

カラシニコフ率 by kuji

孫子の平静   gE

まっぴーが笑っていたんだ なぜだかわからないけどね いきなりあばれることなく おとながおさえることなく きげんがいいときみたいにもんどうむようのまっぴー てやあしがいたいだなんて あたまやこころがくるうと いったがさいごどつかれる よわみをきづか…

虹彩       by fou

時は放たれり 虹彩を満ちてわずかな未来に放たれり 闇を開き 謎に燈をともす そはある正しい形を照らし出す 蔭はより濃く碧をまとい 微かな響きと震動に そは共鳴したり 微かに震えて 待ち望む 時は至れり 星への道程は示されたり 天の永劫はかの血にあり 血…

カラシニコフ by kuji

ぐりぐり by fou

ときどき、ドキドキ。 ますます、ワクワク。 すくすく、ピチピチ。 たびたび、クスクス。 ちらちら、ユラユラ。 ゆさゆさ、ヒラヒラ。 むくむく、ムラムラ。 しみじみ、メソメソ。 さめざめ、シクシク。 だんだん、プリプリ。 ふらふら、グラグラ。 ちりちり…

孫子の平行   shigE

まっぴーはすごいんだよー あばれだすと誰も止められないんだ 自転車に砂かけられたんだ 普段はにこにこしてるんだけど 気に入らないとなると 大人五人でもかなわないんだ 背はぼくぐらいだけど 目つきがほんとに違っちゃうんだ まっぴーはすさまじいんだよ…

Nickel Odeon by kuji

迷い   by fou

選択を行動や 感情として見ない。 選択は物語の中で乱反射。 乱れて、光って、蕩けゆく。綾なす。織りなす。 それはめくるめく恍惚。 あなたは来ない。 私は待つ。 この時がある。 わずかな時。 夜の公園。 あなたを待たせた雨の図書館。 階段に座ってあなた…

孫子の平日 shigE

おーけー さあ 出発! オーケー 昇る陽に浮かび 頭と胸と腹胴を綴り合わせ 異神たちを巡る日々の泡 歴訪の果てに件(くだん)に会う 人面牛身の予言はあやまたず 三日間の日の没するまでに おーけー また 明日! オーケー

孫子の平安 shigE

こんにちは! 働く蟻さん こんにちはぁー 鉄の車を置く場所で 鉄の顎もつ頭を使い 一年の糧をたくわえましょう 心の器を満たす水 熱く滾って吹き荒れそう 天の衣で覆いましょう αβγ・・・みえない光線εx 一日の果てを濯ぎましょう さようなら! あの子もこの…

fou

この家の奥に 子猫の屍体がある 黒猫の産んだ 白い猫 あんなに啼いていたのに あんなに助けを求めていたのに 誰も助けられない 墓標もない 誰にも忘れられて ただ、母猫の黒猫だけが 弔う 母猫の その目は何も語らない 何も訴えない なかない ただ、弔う お…

fou

痛い 痛い 人間への思いは、痛いばかり、 犬には、重いばかり だから、吠える 月夜ではないけれど、犬は吠える犬はうれしい 犬は抱かれるのが嫌い 犬は走る 走る時、尻尾をピンと上げている犬は尻尾を振る今、待っている 走る時を待っている 走って行くとこ…

kuji

一句と一編 Aso

ふふふのふ ふくみわらいの ふきのとう* * * * * * * * * * 水曜の朝 歯をみがく と打とうとして 葉をみがく と打ちそうになった テニスコートの向こうに立つ 五階のここにも届きそうな枝の緑たち サワサワサワサワ なに?なんて言ったの? 逆らっ…

孫子の平方 shigE

蟻さん 今日は いっぱいいる!花曇の駐車場で 人と車にもめげず 早朝から一日の糧を運ぶ心曇りの胸の底で 絶望と悲哀にもつぶされず 昨晩までの衣冠の果てを濯ぐ蟻さん 今から出かけるから まったねー

Aso 「布」22号掲載

雲男 きのう遅く帰って、薄ぼんやりしたロビーでエレベーターを待っていた。ふいにドアが開き、正面に雲をつくような外国人の男がいた。その後ろの暗がりに赤い髪の女性。一瞬の間をおいて、乗り込む。少し横にずれてくれる。ドアの方を向き、脚を開いて立つ…